指先からwas唇からlove【再公開】
「教室からハサミ持ってきてた」
深雪先輩が、とても怖いことを言った。
私も亜美ちゃんも一気に血の気が下がる。
「え、やだ!、なにすんのっ!?なんかしたらけ、警察行くっ!」
亜美ちゃんが慌てて逃げようとすると、一人の女子がタックルするように捕まえて、
「早くっ」
「緒先押さえてて!」
深雪先輩の手にハサミが手渡されると、それはすぐ私の目の前にやってきた。
「元々目立つ顔の癖に、変に隠そうとするから悪目立ちするんだよ!」
ハサミの刃が、おでこをかすめた瞬間、
″もうダメだ ″ と思って目を閉じた。
絶対、変な前髪にされてしまうって。
だけど、
「かいやくーーーーーーーーーんっっっ!」
亜美ちゃんの甲高い悲鳴が、三年女子の動きをピタリと止めた。