指先からwas唇からlove【再公開】
「はっ?!だからさっきも言ったけど、前髪切ってやろうとしただけやしっ!
明らかに校則違反じゃん!」
この人たちの口から″ 校則違反 ″の言葉が出てくるとは……。
こんな時だけど、滑稽で笑いそうになった。
「そんなの余計なお世話だって。危ないことすんなよ。
……緒先のおでこから血出てるやん」
同様らしい海也も、呆れた表情で私の顔を見て、そして、
深雪先輩の手から、もう一度ハサミを取り上げようとする。
「生野も緒先も友達なんで、こういうの止めて貰えますか? 先輩」
穏やかながら冷たい口調は、
恋する女子の心に傷を入れた。