指先からwas唇からlove【再公開】
「お邪魔します」
私なんかが入っていいのかな。
男の子の家とか、ほんの小さい頃以来。
「かしこまんなくていいよ。親は7時位にならないと帰ってこないし」
「……そうなんだ」
じゃ、今は、この家に海也と二人きり……。
益々緊張してきた。
玄関から居間までの廊下が広いのにも驚いた。
私の部屋より広いや……。
「あ、緒先はそこリビングに居ていいから」
「うん」
海也は、私をリビングのソファに座らせると、自身は二階へと上がっていった。
そして、すぐにタタタタ……と階段を降りてきて、衣類を持って私の目の前に現れた。
海也が私に頼んだのは、
「じゃ、たのみます」
学ランとシャツのボタン外し。
「う、うん」
いつも帰宅後は緩いホームウェアに着替えないと落ち着かないらしく、とにかく制服を脱ぎたかったらしい。
……でも、このときは気持ちが高ぶってわかんなかったけど、
良く良く考えたら、利き手じゃなくてもボタンくらい外せるはずだよね。
「くすぐった……!そんなゆっくり外さなくていいよ、ざっとしてくれて」
海也は、ホントは、甘えん坊なのかもしれない。