指先からwas唇からlove【再公開】
家に帰ってからも、しばらくスマホを見ては気持ちが重くなった。
「遥香、ご飯食べないなら早く片付けてしまって」
「……うん」
食事も進まず、直ぐに自分の部屋に引きこもる。
スマホの検索画面には、
亜美ちゃんのお母さんから聞いた、亜美ちゃんが患っている障害の名前が残っていた。
良く聞く症状の名前だったけど、詳しくは知らなかった。
自閉症のひとつらしいそれは、
身体的なものや、知能的には、さほど他の人と変わりはないらしくて、病気とは違うのだと、おばさんは言っていた。
″人の気持ちが分かりにくいのよ、だから人を傷つける言葉を言ってしまったり、無神経だと思われる行動に出るの″
今のところ、私は傷ついたりはしてない。
″性格じゃなくて障害のせいなんだけど、やっぱり周りには理解されなくて、
小学校のころ、イジメにあってたの″
その過去を聞いたとき、
私の中の嫌な思い出も色濃く思い出された。
″そんな亜美を、海也くんは妹のように可愛がってくれた″
もし、私の過去にも海也のような人がいてくれたら、
もっと、明るい社交的な女の子になれたのかな、……なんて思ってしまった。