指先からwas唇からlove【再公開】
「二針縫ったけど、元気そうだったよ」

抱き締めてきた力……強かった。

やっぱり、男の子なんだなって思っちゃった。



「……ふぅん、縫うケガまでして緒先さん守ったんだ」

「やっぱり海也ってさぁ……」


聞かれた事に答えたのに、やっぱり面白くないみたいで、それからは私のところから離れて皆でヒソヒソ話してた。

今まで居た学校でも、こんなに疎外感を感じたことはなかったのにな。




「おはよう、一ノ瀬くん、今日珍しく遅かったね」


そこに海也の次にモテると思われる一ノ瀬くんが現れると、一気に女子の声が高くなる。


「寝坊だよ」



そして、


「おはよう……」


「……おはよう」

一応、挨拶はしてくれるものの、いつもみたいに話し掛けてこないし、こっちを全く見ない。



「……」


まだ気にしてるのかな?




″お前は緒先の彼氏なの?″



あんまりグイグイ来られると戸惑うけど、
全くないと、やっぱり淋しいな。




「おーい、もうHRの時間だぞー席につけー」



特に、




「今日の休みは、……末信だけか。アイツはいつが休みなのかサボりなのかサッパリわからん」




海也の姿が見えない教室は、とてもツマラナイ。



好きな気持ちなんて、そんなに簡単には色褪せないんだね。



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