指先からwas唇からlove【再公開】
「は?、違うし!」
この人もこんなこと言うんだ?
男の子からそんなこと言われて恥ずかしくないけがなく、海也の頭を掴んで太ももから降ろそうとすると、
「きゃっ」
今度は腰を両手で掴まれた。
……て、なに、この図。
海也が私のお腹の匂いを嗅いでるみたいに見える。
「ちょ、本気で甘えん坊なの?」
そう言うと、更にぎゅっと力を込めるから、痺れた足は体勢を崩して、
「もう、無理!」
そのまま身体ごと、床に倒れこんでしまった。
ーーやっぱり、冬の屋上は冷たい。
いつの間にか、私と同じ目線のところで寝転がり始めた海也は、左手を私の顔の下に持っていき、腕枕をしてくれていた。
自然と顔は、海也の方へ寄っていってしまう。
近い。
かなり近い。
海也の呼吸がすぐ目の前だ。
「もう少し、待っててな」
「待つって……? なにを?」
怪我をした右手で、私のおでこを触りながら、
優しく見つめる。
「三年が卒業したら、ちゃんと言うから」
″ちゃんと、言う″ ?
「今の三年、ちょっと面倒」
それって、
「だから、それまで他の奴と付き合わないで」
ーー好きってこと?