指先からwas唇からlove【再公開】

「は?、違うし!」

この人もこんなこと言うんだ?

男の子からそんなこと言われて恥ずかしくないけがなく、海也の頭を掴んで太ももから降ろそうとすると、


「きゃっ」


今度は腰を両手で掴まれた。

……て、なに、この図。


海也が私のお腹の匂いを嗅いでるみたいに見える。


「ちょ、本気で甘えん坊なの?」

そう言うと、更にぎゅっと力を込めるから、痺れた足は体勢を崩して、


「もう、無理!」


そのまま身体ごと、床に倒れこんでしまった。




ーーやっぱり、冬の屋上は冷たい。







いつの間にか、私と同じ目線のところで寝転がり始めた海也は、左手を私の顔の下に持っていき、腕枕をしてくれていた。


自然と顔は、海也の方へ寄っていってしまう。

近い。

かなり近い。

海也の呼吸がすぐ目の前だ。


「もう少し、待っててな」


「待つって……? なにを?」





怪我をした右手で、私のおでこを触りながら、
優しく見つめる。

「三年が卒業したら、ちゃんと言うから」


″ちゃんと、言う″ ?



「今の三年、ちょっと面倒」



それって、


「だから、それまで他の奴と付き合わないで」





ーー好きってこと?








< 93 / 287 >

この作品をシェア

pagetop