指先からwas唇からlove【再公開】
「指、痛そう、大丈夫?」
翌日。
登校してきた海也に、クラスの女子が駆け寄っていく。
転校生を助けるためにケガをした彼。
「神経、切った訳じゃないから、へーき」
ヤンキーで、どこか近寄り難かった反動か、
密かに彼に恋をしていた女子が急に親近感を持って近付く様は、
秘密の恋が始まった私としては、かなり複雑だった。
「海也ってさー、やっぱり緒先さんのこと守りたかったのー?」
席に着いて、海也を見ないようにしてる私の方を見て聞く女子。
「別に。あんまりキショイ事いってんなよ」
「まーた、照れちゃって!」
秘密……になってなかったのかもしれないけれど。