恋愛船〜jast two〜
「おまえだけ、化学のプリントでてねーよ!」
「えー、マジっすか?」
俺ら2年C組の担任は、26歳の男の先生。
あかるくて、若くて親しみやすいから、生徒からにんきがある。
「今回、高月はちゃんとでてたんだからな」
そう言って俺のほうをみる担任からフイっと顔をそらす。
「あいかわらず無愛想だなー。俺はさみしーよ。いつになったら心をひらいてくれるんだ」
「斗真は花恋ちゃんにしかデレねーからな!なっ、斗真!」
なれなれしく俺の肩に腕をまわしてきてウザい。
「あー、それ1年もウワサしてたわ。結城かわいいんだから、ちゃんとつかまえとけよー。
じゃあ、俺ちょっといそいでるから。松田、放課後までにちゃんともってこいよ」
そう言って教室からでていった。
「どこやったっけなー」
なんて言いながら、机のなかやらカバンのなかやらをゴソゴソとさがす瞬を横目に、俺は窓の外の桜をながめる。