恋愛船〜jast two〜
こういう手紙は、中学のときにもよくもらっていた。
だから、この手紙のあいてに言われることは、だいたい予想ができる。
めんどくせー。
俺はその手紙を、ズボンのポケットの奥にクシャッとおしこんだ。
「斗真?」
それと同時に、俺をよぶ声がして顔をむける。
「花恋」
「こんなとこでつっ立ってどうしたの?」
首をかしげて俺の顔をのぞく。
「ううん、なんでもねぇよ」
「そっかぁ」
目の前でニコッと笑う花恋をみて、俺もいっしょに笑う。
「あっ、そろそろいかないと!チャイムが鳴っちゃう……!」
白くて細い左手首につけてある、俺が花恋にプレゼントしたピンクの腕時計。
それをみながら、俺にそう言う花恋。
「わりぃ……。今日、朝から体育じゃん?だから、午前はサボるってきめてきたんだ」
「サボりマン斗真だぁ〜っ」
そう言いながら笑う花恋にそっとほほ笑みかえして、俺は教室とは反対のほうへ足をすすめた。