恋愛船〜jast two〜

揺船…ゆらゆら




……ふぁーぁ。


おおきなあくびをして、学校の門をくぐりぬける。


校門からみえる北校舎が目にはいって、昨日のできごとを思いだす。






──────…………






「こんなところによびだしてごめんなさいっ」


両手を胸の前でにぎりしめて、目をぎゅっとつぶって、俺の目の前で不安そうにあやまる。


「いいよ、べつに」


花恋と同じ、うすピンク色のカーディガンを着る女の子。


いままで、そんな色を着るのは花恋しかみたことがなかった。


そのせいなのか、顔は全然ちがうのにこの子をみていると花恋を思いだしてしまう。


「あのっ!」


つぶっていた目をあけて、俺をまっすぐにみる。


クリっとしたおおきな瞳。


「詩織、先輩が好きなんです!」


手紙をもらったじてんで、まぁ、だいたい予想はしていたけど。


< 32 / 60 >

この作品をシェア

pagetop