恋愛船〜jast two〜
花恋と出会ったのは、昨年の春……高校の入学式の日だった。
──────…………
「ねねね、あの桜を背景に撮ろうよ〜」
「それ、いいね!」
入学式がおわったあと、みんなそれぞれ写真を撮ったりともだちとはなしたりで、昇降口から校門までのあいだが生徒と保護者たちでにぎわっていた。
───ドスッ
「わわわ、ごめんなさいっ!えっ、かっこいい……」
チッ……
はやく帰りたい俺からしたら、いまのこの状況はイライラでしかない。
これ、いつになったら帰れるんだよ。
「斗真〜!」
ひとりこのひとごみでイライラしていると、うしろから俺をよぶ声がきこえてきて、そのままふりかえる。
「はぁー。さがしたんだぞ」
ひざに手をついて目の前で息をととのえているのは、俺の中学からのともだちの瞬。