恋愛船〜jast two〜
俺のことばに、目の前のこいつは口をとじやがる。
「なに、おまえ。俺と花恋がわかれたこととなんか関係してんの?
そういえば、俺がおまえのことを好きとかっていうきしょくわるいウワサもながれてるとか?」
それでも口をひらこうとしないこいつに、だんだんイライラがつのっていく。
「おまえ、自分のその顔好きなんだろ?その顔ひと前でみせらんねーようにしてやろうか?俺、女でも容赦しねぇけど」
いままでおもしろそうにみていた生徒だけど、俺らの空気でなにかを察したのか、廊下はシーンとしていて俺たちの声だけが響く。
顔には自信があるのか、俺のことばにうつむいてはなしだす。
「っ……。斗真先輩がわかれたがっているって、花恋先輩にうそをつきました……」
「は?」
こいつがどんな表情をしているのかみえないけど、声からしていまにも泣きだしそうだと思う。
でも、俺からしたらこいつが泣こうがわめこうが関係ない。
「斗真先輩に告白したあのとき、おなじクラスの子だけじゃなくて花恋先輩もみてたんです。
詩織がまえもって花恋先輩にみるように言ってたんです……」
「斗真先輩がわたり廊下にくるのかはかけていました。こなかったらべつの方法をかんがえていたんですけど、先輩はきてくれた」
うそだろ……。