恋愛船〜jast two〜
「ごめんなさい……。詩織、斗真先輩のことが好きで、だからどうしても花恋先輩との仲をこわしたかったんです。
斗真先輩が詩織を好きってウワサも、詩織が勝手にながしました……」
「おまえ、サイテーだな」
「そんなことして、俺のきもちがおまえにむくとでも思ってんの」
「ほんとうにごめんなさい……」
もう、いいや……。
こんなヤツとはなしてる時間がムダ。
「今後いっさい、俺の前にあらわれんな」
そう言いのこして、俺は背をむけてあるきだす。
廊下でみていた何人もの生徒が、サッと廊下のまんなかをあける。
マジでイライラする。
花恋に屋上でわかれを告げられたとき、花恋は言っていた。
───『斗真もでしょ』。
あれは、このことだったのかよ。
じゃあ、花恋に好きなひとができたって言うのは俺とわかれるため?
わっかんねー。
でもとにかくいまは、花恋があの女と俺の仲を誤解してるわけだから、それを解かねぇーと。
俺はいそいで教室にむかう。