恋愛船〜ｊａｓｔ ｔｗｏ〜

「花恋いる？」


教室のドアを思いっきりあけてそう言うと、みんながいっせいに俺をみる。


「花恋ならいまいないよ……てかどうした、斗真がそんなおっきな声だすのめずらしいじゃん」


どこいったんだ。


俺は蓮のことばに、そのまま花恋をさがす。


教室のとなりにある階段をおりようとしたそのとき、花恋のあたまがみえた。


「かっ───……」


なまえをよぼうとしたけど、花恋といっしょにあるく人物をみて、つづきを言うのをやめる。


「あ、き……」


俺の声に、秋がこっちに顔をむける。


秋は目をみひらくと、花恋に「じゃあ」と言って、俺の横をすりぬけていく。


うしろから教室のドアの開閉する音がきこえて、秋が教室にはいったことがわかる。