恋愛船〜jast two〜
花恋と数秒、目があう。
だけど、すぐに花恋が目をそらし階段をのぼってくる。
そのまま俺の横を素どおりしようとしたから、俺は花恋の細い腕をつかむ。
「なに」
つめたい声。
やっぱり、誤解してんだな。
「はなしがある」
「あたしはないよ」
そう言って、つかんでいた腕をふりほどかれる。
「花恋、誤解してるから」
「誤解?なんのこと?いまさらなんなの!」
「花恋。おねがいだから、俺のはなしをきいて」
「……やだっ!ききたくない。なにもききたくない……っ」
両手で耳をふさいで、首を横にふる花恋。
「もう……やだよ……」
そうつぶやいて、俺の横をすりぬけて教室にはいっていく。