恋愛船〜jast two〜
つぎの日、靴箱で靴を履きかえているときにきこえてきた声に、俺は耳をうたがった。
───“『花恋ちゃんと秋くん、つきあったんだって』”
花恋と秋が……?
そんなことねぇだろ。
すると、昇降口にいる女子生徒が校門をゆびさしてキャーキャーとさけんでいる。
俺もみんながゆびをさすほうに顔をむけると、校門から花恋と秋が手をつないであるいてきている。
「はっ……うそだろ……」
昨日、ふたりで階段をのぼってきていたのも、なにかあったのか?
俺はもう、おそいのかよ……。
「秋くんずっと、花恋ちゃんのこと好きだったもんね。斗真くんとつきあってたときから、ずっと想ってたみたいだよ。一途だよね〜」
もう、なにもきこえない。
俺は、そのふたりをみないように、教室と反対のほうへ足をすすめた───。