恋愛船〜jast two〜
あのまま、教室へはいかずに屋上にやってきた。
いろんなことがありすぎて、あたまがおいつかねぇ。
おおきなため息をついたそのとき、サビついた屋上の扉がひらく音がして、俺はふりむく。
「英麻……?」
花恋のグループのなかで、いちばんおとなしい英麻がこっちをむいて立っていた。
「なに?」
俺はまた前をむく。
「ちょっと、いいかな……?」
そう言ってこっちへむかってきているのか、足音がすこしずつちかくなる。
そして俺の横にくると、フェンスに背をむけてもたれかかるように立つ。
「……花恋と秋くんのこと、しってる……?」
ひかえめにきいているのかして、声がちいさい。
「あー、うん。……朝みた」
俺のことばに、そっか、とだけ言うと、沈黙につつまれる。