恋愛船〜jast two〜



───サァーッ……


強い風がふいて、桜の木がゆれる。


桜の花びらが地面にむかっておちていくのを、たいして興味もないのに目でおいかける。


俺はその桜の木の下をとおって、校門までの道をあるいていく。






「おーい、斗真ー!」

「……」

「あっれー?斗真?」

「……」

「えっ、ちょ、斗真って!なんで無視すんだよ」


ガシッと肩をつかまれて、足をとめられた。


「……んだよ」


ふりむくとそこには、ニコニコと笑うきもちのわるい瞬と、ハデな女子4人が立っていた。


そのなかに、瞬がかわいいと言っていた女の子がいることにきづく。


「このあと、この子たちとカラオケいこーぜ」


……あぁ、

めずらしくにげられなかったわけか。


「いかねーよ」

「なんでだよ!?いいじゃんかよ!」


俺の腕をひっぱっていく瞬。


「いかねーって」

「どうせ家帰っても、寝るだけだろー」


ほらほらと言って、どんどん腕をひっぱられる。


< 8 / 60 >

この作品をシェア

pagetop