パンプスとスニーカー
 「お、美紀と一緒にいるの武藤さんじゃん」




 壮太の声に、さらっとカフェテリア内を見回せば、ちょうど入口に、今朝見かけた凸凹コンビが入ってきたところなのが目に入る。


 中肉中背で化粧っ気のなひまりは、スラリとした今時の女子大生然とした美紀と並ぶとまるで高校生のようで、ジーンズの上下にスニーカー、トートバックにがっつり重い荷物を持った姿はボーイッシュというより、単にズボラな女にしか見えない。


 …せめて、髪、引っ詰めるのやめろよな。


 今までそんなことさえ目につかなかったくらいに、アウオ・オブ・眼中、無関心な相手。




 「彼女って、磨けば光るタイプだよな」

 「なに?壮太。お前、趣味変わったのかよ?」

 「趣味っていうか、彼女にするには重そうだけど、一般論としてけっこう可愛いくない?」




 言われてみても、特に好悪さえも思いつかない平凡な容姿だとしか言いようがなかった。




 「別に…とくになんてことも思わないな。俺、お前ほどストライクゾーン広くないもん」

 「武尊は、ステレオタイプの女ばっかだからな」




 やれやれと、まるで子供でもいなすように言われてしまい、ムッと目の前のステーキにフォークを突き刺しパクリと口の中へと突っ込む。




 「あの子は、お前が今口の中に突っ込んだステーキみたいなもんだと思うわけ」





< 11 / 262 >

この作品をシェア

pagetop