パンプスとスニーカー
 晴天の霹靂ってやつだろうか。


 そりゃそうだ。


 まさか武尊がそんなことを言い出すとはつゆとも思わず、ひまりは驚いて二の句が継げなかった。


 …俺のところへ来な、って。




 「ここ来てわかったと思うけど、上にもバスルームやトイレなんかの水回りはあるし、キッチンは下だけとはいえ、俺、まったく自炊しないし使わないから自由に使ってもらって問題ないよ」


 「問題ないよ、って言われても」




 大いに問題だらけなのではないだろうか。




 「資料とか置いてある書斎は上だから、俺もまったく上に行かないとは言わないけど、一部屋まるまる武藤さんに提供するし、その部屋には入らないと約束する」

 「…………」

 「寝室だけじゃなく、脱衣所やトイレにも鍵はついてるし、…第一、祖母や姉に紹介までした君に何かするほど俺もトチ狂ってないよ」





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