パンプスとスニーカー

　「え？」

　「‘タケちゃん’。ばあちゃんたちいないんだから、それ、もういいだろ？」

　「あ、そっか」




　いつの間にかすっかり馴染んでしまっていた。




　「それに、ばあちゃんたちの前でも俺のキャラじゃないからこそばゆすぎ」




　たしかに武尊にはあまり似合っていない呼び名だ。


　つい親しい間柄なら、とそんな呼び名を思いついてしまったが、武尊のみならず彼の祖母や姉の反応をみてもアンマッチだったかなと、すぐに気がついてはいた。




　「武尊でいいよ」

　「え、でも」

　「壮太もそう呼んでるし」

　「ああ、そうだね」

　「武藤さんのことも、名前呼びしていい？」

　「え…」




　別にイヤなわけではなかったが、つい微妙～な返事に。




　「イヤ？」

　「いいけど」

　「じゃあ、ひまり」