パンプスとスニーカー
 「じゃあ、また、昼な」

 「あ、うん」




 フッと綺麗に笑って、武尊が背中を向ける。


 カッコイイ人だというのはわかっていたけど、カッコイイ人がそんな風に笑ってくれるとさらに2割、3割増しで、なんだか困ってしまう。


 …あたしが困ること全然ないんだけどさ。




 「いつの間に、武藤ッチって北条君と付き合いだしたの?」

 「え、うぎゃっ」

 「ぷっ、なにそれ」




 いつ来たのか、知らないうちに背後に立っていた美紀に驚いて、思わずひまりが飛び退いたのを笑われてしまった。




 「なんか北条君もそうだけど、武藤ッチもけっこうキャラ変わったよね?」

 「そ、そうかな?」




 ツンツンと突っつかれた頬が赤くなっているのなんて、自分が一番よくわかってるからよけいに恥ずかしい。


 美紀が右見て左見て、一応周囲の目を慮ったのか、ひまりの間近へと躙り寄って耳打ちする。




 「沢んとこに泊まってないんだって?」




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