パンプスとスニーカー
 そんなことをひまりは思う。


 長女で、生真面目に、とにかく自分の努力で突っ走るしか脳のない自分とは真逆のキャラクター。




 「ん?なに?」

 「え?」




 ついついマジマジと武尊の顔に見入ってしまっていたらしい。


 整って、柔らかい美貌が怪訝そうに顰められ、逆にマジマジと見返されてしまって居た堪れない。


 …うう、もしかして顔が赤くなってたりするかも。


 中学校・高校も共学で、別に男の子に免疫がないわけではないはずなのに、ドキドキと胸が激しく動悸打つ。




 「あ、そうだ。ひまんとこって、この間犯罪者の人権をテーマに討論会やったんだろ?」

 「あ、うん」




 以前は、武尊と個人的に会話することがあるなどと思ったこともなかったし、同じ学部にいてもまるで違う人種のように感じていたように思う。


 …まさか、一緒に図書館で勉強したりするなんてね。





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