パンプスとスニーカー
 そんな考えが思い浮かんで、ブンブンと首を横に振る。


 いやいやいや、ないでしょ。


 あんなモテる人が、絶対にありえない。




 「み~ちゃったぁ」




 ビクッ。


 つい他人のうちの前で佇んだまま物思いに耽っている間に、背後に立っている気配に気が付けなかった。




 「先生、隅に置けないんだ~」




 ひまりがこの日のこの時間に、毎週勉強を教えている中学生の女の子がニンマリ。




 「すっごいイケメン彼氏!しかもカッコイイ外車の送迎付きぃ」

 「…いや彼氏とかじゃ」

 「いかにもなラブラブオーラ出しちゃって、どこのバカップルかと思ったら先生なんだもん、あたし驚いちゃったよぉ」

 「…………」




*****





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