パンプスとスニーカー
 「は?」




 怪訝に問い返せば、ニコッと笑われ、




 「ま、それはおいおい?」




 はぐらかされた。


 何か奥歯に物が挟まったような…というか、本当はどこかでわかっているような曖昧な違和感。


 それをあえて無視する。




 「もしかして、一人の時間が欲しかったりする?」




 逆に問い返された。




 「そうじゃないけど。武尊、あたしがここにお世話になるようになってから、いつもあたしと食事したり一緒にいて、特にどこかに出かけたりしないでしょ?」

 「うん?そうだね」

 「…えっと、その、いくら恋人のフリしてるからって、別に監視の人がついてるわけでもないんだから、…え~、本当の恋人とお出かけとかしてもいいんじゃない?」

 「本当の恋人…って、俺、今付き合ってる女なんていないけど。もしかして、ひまは迷惑してる?」





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