パンプスとスニーカー
 「え?迷惑?」




 迷惑というのはなんだろう。


 迷惑をかけているのはひまりの方で、武尊がかけている迷惑などまったくないではないか。




 「いや、そんなことないよ。むしろ一人で食事するより、誰かと一緒の方が楽しいし」



 もちろん誰とでも…というわけではないが、ここ数日の付き合いで武尊と一緒にいることは気詰まりではないものになっている。


 いや、もっと踏み込んで言えば、楽しい。


 武尊はおしゃべりというわけではなかったけれど、タラシな男だけに話題のストックも多いし、彼女の専門的な話題にも同じ学部の生徒だけあって、普通についてこれる話ごたえのある相手だ。


 「迷惑じゃないんならさ、俺の好きにさせてよ。それとも、…実は俺のこと牽制してたりする?」




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