パンプスとスニーカー
　久しぶりの一人っきりのランチ。


　ここのところ武尊と一緒か、美紀たち女友達と一緒のことがほとんどだったから、なぜか無性に落ち着かないような、身の置き所がないような。


　…以前は、ずっとこんな感じだったんだよね。


　元々特に社交的というわけではなく、また苦学生で友人づきあいを後回しにすることが多いひまりだったから、大学とバイト、寝に帰るだけのアパートを往復するのが毎日の日課で、こうして一人でいることなんて少しも珍しいことなんかじゃなかったのだ。


　なんだか、田舎から東京に出てきて、初めて一人暮らしをした時のような寂しさを感じている。


　やだな、と思う。


　美紀たちとはたぶん、これからもずっと友達でいられると思うけれど、武尊との関係はいずれ希薄なものになるのがわかっているのに。


　もちろん、以前とは違って、顔を合わせれば挨拶や立ち話くらいはするかもしれない。

　それでも、やっぱり今のようにベッタリ…ということは、なくなるのだろう。


　そんなこと、当たり前のことだってわかってる。


　わかってるのに、それなのに…。




　「武藤さん？」




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