パンプスとスニーカー
 いきなりの直球に、咄嗟に言葉に詰まって、ひまりはマジマジと相手の顔を見返してしまった。


 あらためて相手を観察してみれば、ずいぶん目鼻立ちの整った美人だ。


 …もしかして。




 「えっと…あの、高崎さんは武尊…北条くんとは?」

 「お友達」

 「…お友達?」

 「そ。お互いに都合が付けば一緒にお茶したり、お酒飲みに行ったり。彼、優しいから、たまにお願いして送迎してもらったりしてるかな」

 「そう…なんだ」




 もったいぶったような言い方はあまり感じが良くなかったが、特に悪意はないのか、頬杖をついたまま、ニッコリと笑う顔には敵意のようなものは感じられない。


 しかし、いくら顔くらい知ってるからといって、これまでまるで交友のなかったひまりに声をかけてくるからには、何か理由があるのだろうとは察せられる。




 「最近、武藤さんって、よく北条くんと一緒にいるわよね?」

 「………」




 なんと答えて良いのだろう。


 『お友達』とは答えているが、その『お友達』の範囲が、ひまりと女友達、あるいは壮太との関係とはまるで違う含みを持っていることに気づかいないでいられるほど、ひまりも鈍いわけではない。


 それに…。


 …そうだ、この人、たしか去年の学祭で、準ミス・キャンパスになったとかいう人だ。


 そして、武尊と付き合ってるという噂になったことも、美紀からだったか、それとも沢からだったか聞いたことがあった気がするし、実際に武尊と二人で歩いているところを何度かひまりも見たことがあった。


 興味はなかったけれど、目立つ二人組だったから、どうしても視線を集めて、なんとなくではあっても、ひまりの記憶にも残っていたのだ。




 「私、最近、彼氏と別れたの」





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