パンプスとスニーカー
 …た、た、武尊の…舌?


 …ひぃ――ッ!!




 「たけ…ん…ぁ……ハァ……ん……まっんんん…ぅ」




 唇に隙間ができるたびに何か言おうと言いかけるが、いきなりな濃厚キスに何も言えぬまま、変な声が溢れて動揺して、そのうち思考に霞がかって何も考えられなくなってくる。


 …武尊。


 ただ、目の前にいる彼のことだけで頭がいっぱいになって…。


 さっきまで執拗に鳴り続けていた武尊の携帯電話の音さえも、ひまりの念頭から消えた。


 ガクガクする足の感覚が消え、クラリと目眩に似た浮遊感に襲われる。


 次の瞬間、うっすらと開けた目に、武尊の顔越しの向こう、反転した天井が映った。


 ひまりをソファに押し倒して伸し掛っている武尊が、彼女の頭を腕で囲んで熱く…甘く見下ろす。




 「…ひま」

 「武尊…」




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