パンプスとスニーカー
 「壮太」

 「あれ、準ミス・キャンの恵梨香ちゃんだろ?」

 「ええ?ショック~、北条君、恵梨香狙いだったんだぁ」




 類は友を呼ぶ。

 親友の壮太もちゃっかり片腕に女をぶら下げていた。

 いつものことだが、先日連れていた女友達とはまた別の女だ。




 「まさか、高崎さんとはただの友達」

 「ホント?」




 日頃の行いだろう。


 高校時代からの悪友の壮太どころか、連れの女にまで疑いの目で見られてしまっている。




 「高崎さん、ラグビー部のエースと付き合ってんじゃん?俺、腕力に自信ないし、あの筋肉ダルマと殴り合いとかして略奪愛とか、無理」

 「はっ!たしかに」

 「だよね」




 通じ合った者同士の笑いがある。




 「それより、なに?美紀ちゃんこそ、壮太と付き合うことにしたわけ?」

 「まさか」

 「俺はいいけど?」




 武尊の問いに、真逆の返事が返った。




 「何言ってんのよ」

 「いてっ」




 組んでいた腕を抓られ、壮太が澄ました美貌を歪める。


 美紀は中々の美人だが、間違っても武尊や壮太が付き合うような相手ではない。


 真面目…とも違うが、少なくても恋愛には真摯だった。


 第一、現在、美紀は8才年上の彼氏と同棲している。




 「たまたま出くわしたから、車に乗せてもらっただけ。壮太にしても北条君にしても、なまじ顔がいいだけじゃなくって、ボンボンだから女は騙されちゃうのよねぇ。こんな高級車乗って学校に通ってるのなんて、あんたたちくらいなもんでしょ」





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