「好き」と「好き」
「…なによ、奏多。あんただっていつも寝起きの顔すっごいよ。なんかいかにも『俺は低血圧です』みたいな顔してるんだから」
あの顔を思い出すと笑いが止まらない。
ぷぷぷっと笑っていると
気付いたら奏多の顔がわたしの顔に急接近していた。
「ななななななな、なに?!」
「……べつにー。なんも?ただアホっぽいなと思っただけ」
そう言い、奏多はリビングに続く階段を降りて行った。
奏多は、世で言うイケメンだ。
憎たらしいけど、まじで性格悪いけど、顔には文句はつけれない。
そんじょそこらの俳優よりもかっこいい。
そんくらいのレベル。
だから、たとえ兄弟でもいきなり整った顔がドンッと近くに来ると動揺する。
だいたい何で私も兄弟のはずなのに美女じゃないんだ!
なにもかもふつーな私。
神様ってひどいよね〜。
なんて、悲しみに浸ってたらお母さんにもう一度呼ばれたので急いで下に降りた。