月の光に照らされて
何の話をしているのかはわからないが、嬉しそうに…楽しそうに話をしているミルの表情を見れて、フェイは少し笑みが浮かぶ。この婚約が上手く進めば、彼女は幸せになれると願っているからだ。
「これで…、心置きなく戻ることができるな…」
終わりまで見届けることはせず、大樹から降りると、小さな声で「さよなら」といって、その場を後にした。
それを見ていたのか、執事のグラウンは目を盗んで屋敷から外に出て、フェイを追った。
「お待ちください、フェイ様」
「俺の事を覚えてるんだな。
いくら主人の命令とはいえ、追い出した張本人だもんな。で…、何か用でも?」
「後悔しております。あれがお嬢様のためだと思った好意が、悲しみに堕ちるなんて…。
お願いします。またいなくなるのを知れば…。貴方様しかお嬢様の笑顔を護れる方はいないのです」
「その願いは却下だな。俺がここにいる方が、不幸を喚ぶ。
いいお相手が今いるだろう?そいつに任せるよ。ミルのこれからを」
「本当にいいんですか?貴方はそれで後悔しないんですか?」
「………、じゃあな」
「これで…、心置きなく戻ることができるな…」
終わりまで見届けることはせず、大樹から降りると、小さな声で「さよなら」といって、その場を後にした。
それを見ていたのか、執事のグラウンは目を盗んで屋敷から外に出て、フェイを追った。
「お待ちください、フェイ様」
「俺の事を覚えてるんだな。
いくら主人の命令とはいえ、追い出した張本人だもんな。で…、何か用でも?」
「後悔しております。あれがお嬢様のためだと思った好意が、悲しみに堕ちるなんて…。
お願いします。またいなくなるのを知れば…。貴方様しかお嬢様の笑顔を護れる方はいないのです」
「その願いは却下だな。俺がここにいる方が、不幸を喚ぶ。
いいお相手が今いるだろう?そいつに任せるよ。ミルのこれからを」
「本当にいいんですか?貴方はそれで後悔しないんですか?」
「………、じゃあな」