月の光に照らされて
地上に墜ちる黒い爆煙は、ドサッという音と同時に煙が晴れた。

そこに人の形をした姿はなく、この空間から気配すら消えた。だが、強く感じる殺戮の気配は消えない。どっと溢れる汗が、地獄の牢を具現させる。


一人の忍びがその牢獄から消えると、遺された二人は殺気に耐えながら、どこから攻撃が来るかじっと探る。



何かが墜ちた音に振り向くと、屍と成り果てた忍びが胸を一撃で突き刺され、首を絞められていた。

だが、その方向を振り向いた瞬間に帝朧だけが取り残され、首を絞められたロープに吊されて、もう一人は降りて来た。



「こんなやり方で、我が里を滅ぼしたのか!」

「くっくっく、何を言うか。忍びに忍《シノブ》という意味を教えてるだけだ。

こんなことしなければ死に逝かなかったものを…」



降りて来た刹那は邪々しい雰囲気と、眼があった瞬間、身体中に悪寒が走り、刹那が瞬時に動いたかのように自ずを切り裂いた光景が帝朧を襲う。


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