月の光に照らされて
闇が爆炎が飲み込む。それを力として取り入れているのかもしれない。


感じる気は、もはや人の形をしているものではなく、殺戮だけを思考している、悪魔の正体。その圧力に身体は命令を聞かず、動くことはない。全てを破壊する化身がそこにはいた。


剣を一つ振るうたびに、バターのようにずれ落ちる鉄工が建物を崩し始め、このスラム街には壮大な音が響き渡る。



回避に間に合わなかった忍び達は下敷きになり、それに気を向けず、この街を破壊するために、次々と力を解放した。

こうなっては、この地上全てを破壊し尽くすまで、暴走を続けるであろう。



不気味に轟く笑い声が、この闇に生み出した獣を歓喜出させる。



「フェ、イ」


身動きのとれない状態で部屋に放置されているミルが、外の闇に響くその声を聞くと、声の主を知っていかのように呟いた。


足枷のついたままの状態で部屋の入口に力いっぱい歩き、ドアを開けると忽然と静まり返っていて、この建物内には人がいないのではと思えるほとだ。

先程まで、あれだけ人声が響いていたとゆうのに…。急いで走っていったのか、鍵も無造作に落ちていて、それで足枷の錠を外すと、急いで外に出ようと走った。


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