月の光に照らされて
「お嬢様!」


警備隊が発ってから三日後の昼過ぎにミルは家に戻って来た。瓦礫の粉塵が顔に色を付け、着ていた洋服は使い物にならないぐらい汚れている。

ミルの父が出てきたのは、執事のグラウンが呼んだ直ぐの事で、彼と一緒にいるのを見た途端、駆け足を止めた。


「何故その男がここにいる!?」

「お嬢様が彼から離れないもので…、手荒な真似はしたくなくそのままお連れ致しました」



警備隊長のいうことは正しく、別に二人はあそこにずっといてもよかったという顔をしていた。



「これからは一緒に居させてもらう。嫌であるなら、ミルを連れていくからな」


連れていく方がこの先に壁は無い気がするが、やはり一応は親の事も考えてやらねばという、フェイの心遣いであるのだが、ミルの父は気に入らないようで、苛立ったまま部屋に帰っていった。


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