月の光に照らされて

奥底に眠る感情

食事が終わり、今日は休日ということで近くでボールを使ったり、チャンバラごっこをしたりと外で遊ぶ。

女の子達はマキと花を摘んで冠を作っている。陽の光が強いためか、リクは木陰に逃げて街でもらった小説を片手に読書している。


「あら?ユナ、彼は?」

「知らない。お世話役じゃないし」


あらあら、と困った顔をしてユナに子供達を任せてマキは長家に戻った。



突風か強い風がその場一体に吹くと、その先から見知らぬ集団が姿を現す。小一隊か、鎧をきた軍団が草花を踏み散らし、植物の命を奪っていく。だが、そんなことは気にしていない。人の命ですら殺めるのを躊躇しないのだから。



リクが木陰から出ると、子供達を一箇所に集めてその広い場の隅に寄った。だが、通りすぎるというわけではなく、こちらの前方で歩みを止めて列を成す。


『主ら、ここらで少年を見なかったか?』


なんとも低く重たい声。兜の隙間から見える眼光が子供達には恐怖感を与え、背を向けて泣きそうな顔をしている。


「知らない。夜にここを通られたら見るはずがないからな」

『そうか、行くぞ』



近付いてきた鎧の動く音が、一層響く音が増し、地響きすら感じるほどだった。


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