月の光に照らされて
* * *
四人の忍びが基地たる場所に逃げ帰り、一人の忍びに頭を下げて座る。
「目当てのものが見えないが…、どうしたよ?」
暗い闇に染まった声が、四人に恐怖と絶望を与える。失敗は赦されない、例え何があろうとも…。
「帝朧《タイロウ》様、申し訳ございません」
ただ、四人の中の一人は先の闇の正体に気付いて退いた様子で、与えられた恐怖と絶望に怖じけてはいなかった。帝朧と呼ばれた忍びも、それが手にとるようにわかったようで、続きを言わせる。
「雇ったのかは知りませぬが、闇の殺し屋がおりましたもので、仕方なく退いてまいりました。
帝朧様がおりませぬと、この任務の遂行は難しいものかと…」
「………っくっくっく、刹那がいるとはな!」
どす黒い気質はどっと帝朧から溢れ出し、そこにいる忍びに襲い掛かるように体力を奪っていく。口を開けた者も、冷汗が皮膚を濡らす。
帝朧は自らも任務に出ると、四人に他の任務を遂行しているものを集めるよう指示を出し、自身もまた戦いのための装備を万全に用意をしに戻った。