強制結婚 ～石油王の妻にさせられた私～

「カダルの法では、貴方は今、死刑に相当する罪を犯したことになるんです」
「えっ！？　死刑！？」
「そうです。女が男の頬を叩くことは最大の侮辱ですから……」
「こ、ここが日本でよかった……」

もしカダルでそんなことをしていたら、私はもう捕まっていただろう。
ホッと息を吐く私に、ジャミール氏が首を振る。

「いえ。国外でも関係ありません。私は名誉のために、貴方に死を与えなくてはなりません」
「そんな！　理不尽な……！　私はカダルの人間じゃないし、そんな法律のことも知らなかったのに……！」
「知らなかったとしても、罪は罪です」

ジャミール氏が私に一歩近づいた。
ソファの上に仰向けに転がるようになっている私に、覆いかぶさるようにしてくる。

「ですから、由香。貴方は今日から、私の妻です」