強制結婚 ~石油王の妻にさせられた私~
「ゆ、由香って。いきなり呼び捨てにするなんて……」

あまりの出来事で、頭がついていかなかった。
どうでもいいことが口からこぼれる。

「もう、貴方は私の妻ですから。私のこともジャミールと」

ジャミールが、私の足にそっと足を乗せてきた。
痛くはないけど、抑えられているから逃げられない。

「今すぐ、正式に夫婦になりましょう。それしか貴方を助ける方法がない」
「私を助ける方法がないって、どういうことですか?」
「カダルの法では、もし女が男の頬を叩いたとしても、夫婦であれば無罪なのです。後から夫婦になったとしても問題ない、と定められています」
「そんな!」

だからって、いきなり困る。
確かにジャミールはカッコイイ。
日本人とは明らかに骨格からして違う、たくましい体躯。
彫の深いエキゾチックな顔立ちにもついドキドキしてはしまうけれど……。

「結婚なんて無理です。できません!」
「どうしてですか? まさか、既に結婚を?」
「わ、私は……、独身ですけど……」

仕事一筋できたせいで、ここしばらくは彼氏もいない。
でも、そこまでいうのは恥ずかしかった。
黙り込んだ私の頬に、ジャミールが優しく触れてくる。

「初めてなんですね? 大丈夫、私に任せてください」
「えっ……!?」

何の話だと問うよりも先に、ジャミールの手が私のスカートの中に入り込んできた――
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