奥さんの身柄、確保!
「ちょっと待った。さっきアナタ、聞き捨てならない事を仰有いましたね?」

「え、何をです?」

 爽やかな笑みを絶さない彼の耳元に、私はそっと口を当てた。

「お、奥さん?」
 
 頬を染めた彼に、私は低い声で囁いた。

「…私の所に来るのが遅かった理由。さっきの話から察するに……アンタ途中で女の子口説いてたんでしょ?」

 ジットリと彼を睨み付ける。

「いっ?ええまあ…。ああシマッタ‼つい口が滑って……」

「……やっぱり。
 このぉ~、エロ巡査ぁ‼そもそもアンタがナンパなんかしてるから、私がこんな目に遭ったんでしょ~が‼」

 ポカポカと彼の胸を叩く。

「お、落ち着いて奥さん。あれは向こうから…イヤイヤ。
 だから俺、命に変えてお護りしますと…」

「ったりめーだぁ‼コノッ……ホントに、本当に怖かったんだからぁ…バカァ……」

 これまでの緊張が一気に溢れて、それ以上は言葉にならなくなってしまった。

 女の子の1人ぐらし、頼れるヒトがいないってコトは、アンタが考えるよりずっとずっと不安で怖いんだからなぁ~‼
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