奥さんの身柄、確保!
 頬に伝う悔し涙を、止めることが出来なかった。
 
「……奥さん」
「⁉」

 と、柿田巡査のごつめの指が頬に触れ、流れる涙に堰をした。

 目の高さまで膝を折り、私の顔を覗き込む。

「捕まえましょうソイツ、一緒に。
 貴女がいつも安心して眠れるように。
 大丈夫。それまで俺は絶対に、貴女の側を離れませんから‼」

 制服の、青シャツの腕をまくってポーズを決め、鍛え上げられた身体を頼もしげに誇示して見せる。
 
 そこにいるのは間違(まご)う事なき正義の味方、頼もしい町のポリスマン。
 
 溢れるような笑顔が、写真の中のダンナ様と重なって……


「か、柿田さぁん……」

「う、うわっ。ちょ、奥さん⁉」

 気が付くと私は、彼の首にヒッシと抱き付いていた。
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