奥さんの身柄、確保!
「ホントにこんなんで、大丈夫ですかぁ?」

 私は、これ見よがしに軒下に可愛いランジェリー類を干しながら、柿田巡査に問いかけた。

「こちらが警戒していないコトを示すためです…
 あ、良かったら手伝いますよ?自分背が高いんで」

「ケッコウです!もうっ、こっち見ないで下さいヨ」

 慌てて回れ右をする柿田巡査。

「失礼、……終わりましたか?」
「まーだ!な~んか信用ならないなあ」

ようやく“エサ”を干し終わった時だった。

「⁉」

私は確かに“例の視線”を感じた。

「か、柿田さん……」

 私は、まだ後ろを向いている柿田さんの裾ををぎゅうっと引っ張った。

「あ、終わりました?」

 フルフルと首を横に振る。冷や汗が止まらない。

「違う……あそこ…いる。黒いフードの…」
「何だって⁉……しまった!」

 彼の予測では、奴が現れるのはもう少し先、人が寝静まる時間帯。
 柿田さんはベッドの下に隠れ、私が一人寝ていると見せかけて、捕らえる算段だった。

 しかし…。

 私はヘマをした。

 慌てて身を隠そうとした柿田さんに恐怖のあまり、しがみ付いてしまったのだ。

「イヤっ…行かないでっ。恐いっ‼」
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