探偵の彼に追跡されて…
大手町から有楽町まで歩いて来てどうして…


「どうして、ここで電車なんですかね? 乗るなら大手町からでも」

「太郎さんも警戒してるんだろ? 今のところ俺達には気づいていないようだが」

太郎さんはチラッと周りを見て電車に乗り込んだ。それを見て私達も後の車両に乗り込んだ。

所長と私はドアの側に向き合うように立ち所長は太郎さんの乗った車両を見ている。

「所長? ここまでする必要ありますか?」

所長はさっきから左手で私の腰を抱き、右手で私の頬を撫でている。

「だってさ恋人同士だからね? この後も良い所行ってイイ事しなきゃいけないからさ? もし、俺達の尾行を疑って居たら太郎さんに魅せつけとかないとね怪しまれるでしょ?」

「良い所? 良い事?」と首を傾げる私に

所長は魅惑的な微笑みを向け「そう。イイ事をね!」と、私の耳元で囁いた。

私の胸は早鐘を鳴らし顔を赤く染める。

そんな私は見て所長はクスッと笑う。

絶対、この人私をからかって遊んでる!?

仕事だって分かっているのに、いつもいつもどうして私の体は反応するのよ!
私は、自分の体にも腹が立つ!!

私は、頬を膨らませ顔を背け車窓に映る自分を見る。
窓にはふんわりカールした髪に綺麗にメイクした私。電車が揺れると私の体も揺れ髪の間から揺れるイヤリングが見える。







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