探偵の彼に追跡されて…
沙汰郎 Side
「ただいま!」



「美野里ただいま…?」

あれ?この指輪の事やっぱり怒ってる?

「美野里ちゃんケーキ買ってきたよー」

俺はダイニングテーブルに鍵とケーキを置く。

テーブルには今淹れたばかりのコーヒーが置いてある。

「美野里トイレか?」

だがトイレもバスルームも居ない。
寝室かと思い行ってみたが居ない。

「美野里ちゃーん隠れてないで出ておいで」

来客用の部屋もいない。

キッチンに行くとウンターの上に置かれたオムライスが目に入った。

ケーキが食べたいと言ったのにオムライスを作ったのか?

「おい… 嘘だろ!?」

オムライスには【サヨウナラ】とケチャップで書いて合った。

冗談はやめろ!

それを見た俺は慌ててすべての部屋を見て回る。
寝室のクローゼットを開けるが美野里の物は何1つ残っていなかった。

俺は部屋を飛び出し美野里のアパートへバイクを走らせる。

ドンドン!ガチャガチャ!ガチャガチャ!ドンドン!

「美野里!美野里!開けてくれ!俺が悪かった!頼むドアを開けてくれ!」

ドンドン!ドンドン!

「美野里!指輪は外す!指を切り落としてでも外す!だから出て来てくれ!」

「あの… そこの人なら引っ越ししたみたいですよ?」と隣人の女性が教えてくれる。

「え?引っ越し?いつ?」

「今朝、リサイクル業者が荷物運び出してましたし、女性の方がご挨拶に来ましたよ」

「え?今朝ですか?」

今朝、美野里は俺と居た。
じゃ、誰が?
荷物を運び出すにしても立会が必要だろ?

「ええ。雉馬さんのお友達と言う方が」

友達?

「あのリサイクル業者の名前分かりますか?」

「駅前のえーと…【売って下さい買いますから】ってお店ですよ」

「ありがとうございます!」





< 118 / 152 >

この作品をシェア

pagetop