探偵の彼に追跡されて…
太郎さんは警戒してる様で何度か必要の無い電車を乗り継いでいた。

途中、所長はショップバックに入れて合った上着を着たり、それを裏返し眼鏡を掛けたりしていた。私もストールを肩にかけたりした。 

所長と現場に出るようになって私も服はリバーシブルを着るようにしている。 

私の場合は仕事の為ではなく自分を守る為だが…

数駅過ぎた時所長が「次で降りるぞ」と言った。

ドアが開き私達は電車を降りたが太郎さんは降りてない。

「所長! 太郎さんはまだ…」

「気にするな行くぞ!」と、所長は私の手を引いて歩いて行く。

でも、このままだと太郎さんを見失ってしまう…

電車のドアが閉まる合図が有り、あぁ…と思った時太郎さんはドアの閉まる間際電車を降りた。

所長は知っていたのだ。太郎さんがこの駅で降りる事を…

まぁここ数ヶ月渉君に調べさせていたのだから知っていて当然なんだろうが…

太郎さんは新宿で降りると暫く歩いた後、歌舞伎町のラブホテルに入った。勿論、私と所長も続いて入る。

取り引き先と打ち合わせと言って社を出て居るのにラブホテルとは…
太郎さんは結婚しているから浮気をしてるのか、それともカモフラージュの為だけにラブホテルを使って居るのか分からないがどちらにしても真面目に仕事をしていない事は確かの様だ。

運良く太郎さんの隣の部屋が空いてれば良いのだが、空いていない時は物陰に隠れたりしてツーショット写真を狙う。

今回は隣の部屋は空いてなく、ひとつ置いたエレベーター側の部屋が空いていたので私と所長はそこへ入った。

部屋に入ると私はパンプスとストッキングを脱いで素足になり、服の上からバスローブを着て準備をする。
こういう時ミニだとバスローブだけしか着ていないように見えるからカモフラージュしやすい。

太郎さんの相手はまだ来ていないらしく私達は部屋の扉を少し開けて廊下の様子を窺っていた。

10分程した時エレベーターから女性が1人降りて来て私達の部屋の前を通った。

彼女だ。 太郎さんの相手は彼女に間違いない!

彼女が太郎さんの部屋のドアをノックすると私と所長は部屋を出て廊下で抱き合う。

「ねぇー今度はいつ会えるの? 私の事好きなら早く奥さんと別れてよ」

「あぁもう少し待っていてくれ。必ず別れるから」

すると太郎さんがドアを開け彼女を迎え入れた。
その姿を私が所長の影から写真を撮る。







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