探偵の彼に追跡されて…
私達はホテルを出て少し離れた所に止めてある車のドアを開け後部座席へ乗り込む。

すると渉君が運転席から振り返りニッコリ笑う。

「お疲れ様でーす。美野里さんの声、真に迫ってましたね? いつも思うけど、美野里さん不倫の経験有るんじゃないですか?」

「もう、渉君! 人が真面目にやってるのに邪魔しないでよね!!」

さっきラブホテルで私と所長の会話に渉君が乱入して来たのだ。

『ねぇー今度はいつ会えるの? 私の事好きなら早く奥さんと別れてよ』

『あぁもう少し待っていてくれ。必ず別れるからさ』

と、私と所長が抱きあっている時、

『美野里さん色っぽいねぇ。所長、奥さんと別れてあげてぇー』とイヤホンから渉君の巫山戯た声が聞こえて来た。

「渉の声がした時、美野里ちゃん俺に抱きつきながら舌打ちしたんだよね? 俺、美野里ちゃんのそういう所好きなんだよね。ギャップに唆られちゃうー」と、所長は可愛く言うと広角を上げる。

『ちゃうー』って…
33歳の既婚者に可愛く言われても困るんですけど?…

「ハァ… ったく、二人共真面目に仕事して下さい!! 私、からかわれるなら、もう現場でませんよ!?」

普段目立たない様にしてるのに、仕事とは言え、からかわれてまで今日みたいな格好はしたくない。目立ちたくないのだから!

「美野里ちゃんごめん。美野里ちゃんに手伝って貰わないと困る。まさか俺と渉が手を繋いでラブホテル入るわけにいかないしさ?」

所長は眉を下げて困った様に言う。

「別に男同士でも良いんじゃないですか? イケメンカップル。今は色んな愛が有りますからね?」

私が口角を上げて言うと、二人は顔を見合わせ、オエッと吐く真似をし

「「絶対にヤダ!!」」 とハモらせる。









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