探偵の彼に追跡されて…
車で待つ事1時間。

太郎さんはまだホテルから出て来ない。

これはカモフラージュだけでは無く浮気に間違いない! 奥さんが居るのに信じられない!!

「実家に帰ってる奥さんが知ったらどうなるんですかね?… 」

渉君がホテルを見たまま呟いた。

そうだった。太郎さんの奥さん臨月で出産の為に実家に帰ってるんだった。

「やっぱり…奥さんにバレますかね?…」

出来る事なら奥さんが気づく前に別れて欲しい。
生まれてくる子供のためにも…

「バレるだろうな? 今回の事を俺達が証拠を固め漏洩疑惑を暴いて会社を追求すれば、会社は建てまいでは謝罪をするだろう。トップを変えそして賠償金を払い会社は生き残る。だが太郎さんは解雇になり会社には残れない。遅かれ早かれ奥さんの耳には入るだろう…」

「………」 奥さんが可哀想…

「出て来ましたよ!」

渉君の声で時計を見るとホテルに入ってから2時間近く経っていた。

入る時は別々だったのに腕を組んで出て来た。

「珍しいな? いつもひとりで出て来るのに…」

渉君は首を傾げる。

「不倫なのに腕を組んで出て来るなんてあり得ない!」

「美野里さん厳しいすっね?」

奥さんの居る人を好きになったならもう少し人目を気にして、別々に出てくるとか身の程を弁えて欲しい。と、思うのは私だけだろうか…

「私…考え方古いのかな?」

「俺はそんな美野里ちゃんが好きだよ!」

所長は笑顔で言う。
そんな所長に思わずドキッとしてしまった。

妻子持ちの所長に『好きだよ』って言われてもね…

太郎さんと花子さんは笑顔で別れ太郎さんはタクシーに乗り込んだ。

「じゃ俺達は花子さんを追う。渉は太郎さんを頼む!」

「了解!」

所長と私は車を降り花子さんを追った。




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