探偵の彼に追跡されて…
あれから２週間が過ぎた金曜日、朝所長に【ＷＳＨＩ法律事務所】への請求書の準備をするように言われた。

例の化粧品会社の情報漏洩の調査が済んだようだ。

あれから私は、太郎さんの事が気になっていた。

もう直ぐ子供が生まれるのにライバル会社の情報を盗んだり、浮気をしたり、とても許せる行為ではない。

奥さんはご主人の犯罪行為や浮気を知ったらどう思うだろうか…

生まれて来る子供の為に許せるだろうか…

出来る事なら生まれてくる子供から父親を奪いたくない…

「み の り ちゃん！ 君が悩んでも仕方ないでしょ？」

所長は私の考えている事が分かっているのかそう言うと私の頭をポンポンと優しく叩いてくれた。

「でも…」

「レディースビューティー化粧品の社長が罪を認めて、社長の椅子を退いた。と、言っても創立者一族の権限力が無くなる訳じゃないから、なんて事はないんだろけど？ 佐藤は解雇処分になった…」

「えっ？ じゃ、佐藤さんだけが… 」

「優美堂化粧品は訴えても裁判やなんだで時間もかかるかし、今回は偽の情報だったから賠償金を貰って終わらせた。だから佐藤も犯罪者という事にはならずに済んだ。」

「…良かった。でも…」

「佐藤、奥さんに全部話したそうだ。情報を取る為に男女の関係になった事を。奥さんはまだ許しては無いが離婚はしてない。今は奥さんの実家の農家を手伝っているらしい。これからの佐藤を見てどうするか決めるそうだ。それに一条が話を付けてくれたから佐藤にもしっかり退職金は出たし奥さんも安心して子供を産めるはずだ。」

「良かった…」
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