探偵の彼に追跡されて…
「所長。太郎さんの相手捕まらないですよ… 警戒心が強くってラブホにひとりで入って出て来るのもひとりなんで… 」

渉に調べさせていたが太郎さんはラブホテルで情報を流す相手に会っている様だと言う。

その現場写真を押さえたい。

「また野里ちゃんに同伴して貰うか?」

折角だから綺麗に着飾った彼女が見たくて洋服をプレゼントする事にした。

彼女は渋っていた居たが仕事だからと仕方なく俺のプレゼントした服を着てくれ幸子さんにメイクをして貰った。

その姿に俺は見惚れてしまった。

綺麗だ…

似合うと思って居たが、想像していた以上に綺麗だった。
だが、そう思うのは俺だけじゃなく渉もそう思ったようで

「おっすげぇー綺麗じゃん! 所長? 俺が美野里さんと太郎さんに行きます!」

渉は目を輝かせた。
そんな渉を見てなんかむかついた。

冗談じゃないね!? 渉には悪いが仕事とはいえ他の男に渡すつもりは無い。
彼女の隣に並ぶのはこの俺なんだよ!

「ダーメ! 美野里ちゃんとデートするのは俺なの」と俺は笑ってみせる。

俺ってこんなに独占欲強かったんだと自分でも可笑しかった。

太郎さんの尾行を始めても美野里ちゃんはミニがよほど恥ずかしいのか異常気象で暑いだろうと何度もコートを脱ぐように言ってもダウンコートを脱ごうとせず汗を流していた。

本当に強情だな…
だが… 早くコートを脱がさないとこのままじゃ暑さでぶっ倒れるぞ!?

ハァ… 仕方無い無理やり脱がすか?…

俺は右手の袖の中に仕込んであるマイクを口元へ持っていき「渉、見失うな!」と渉に太郎さんを頼み『了解』と言うイヤホンからの渉の返事を確認して歩みを止め美野里ちゃんの肩に手を置く。

「頭から湯気が出ている。コートを自分で脱ぐか、俺にここで脱がされるのとどっちが良い?」と意地悪く聞く。

美野里ちゃんは通り過ぎる人達の視線を浴びる中、道の真ん中で俺に脱がされるのは恥ずかしいと思ったのか

「自分で脱ぎます…」と返事をした。

美野里ちゃんはコートを脱ぐとフッーと息を吐いた。

こんなに似合ってるんだから恥ずかしがらなくとも良いのに。

「馬鹿だな。そんなに我慢して」

側の自販機で買って来たペットボトルの水を差し出した。






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