探偵の彼に追跡されて…

ん？ 聞き覚えのある声？

一条さん達の後ろから顔を出したのは堤先輩と優子先輩だった。

「えっー堤先輩!? 優子先輩!? えっ!?えっ!? なんでー？」

「美野里ちゃん久しぶりー」と優子先輩は私に抱きついて来た。

「先輩？」

「大変だったね大丈夫？ 鶴見の馬鹿！女誑しとは聞いてたけど、あんな卑劣な奴とは知らなかった。絶対許せない！今度あったらぶん殴って、八つ裂きにしてやる！！」

鶴見君の事はテレビニュースや新聞にも載らなかったから知ることは無いと思うけど…

ここに居るという事は多分このメンバーの誰かに聞いたんだと思うけども…　でもどうして？

「優子先輩、その顔怖いですって!? もう大丈夫ですよ！ 心配してくれてありごとうございます。それよりどうして先輩達が？ あれ？ そう言えば堤先輩、さっき兄貴って言いました？」

「ああこのいじけてる奴、残念な事に俺の兄貴！」

「コラ！ 何が残念だ！？」

「いってぇー」

堤下警部補さんは今まで座り込んでいじけていたのに立ち上がると堤先輩の頭に拳骨を落とした。

「えっー？ だって名字違うじゃないですか！？」

「ああその話長くなるんだよね？」と堤先輩は話しだした。

大学に入ってすぐサークルの名簿に堤先輩は堤下真一と記入したのだが誰かが消してしまって堤真一になっていたそうだ。堤先輩は訂正するのも面倒だからとそのままにしていたら堤としてサークル内で浸透してしまったと言う事らしい。

「は？ 普通訂正するでしょう？」

「でしょう？ この人面倒くさがりじゃん!? ホント馬鹿だよね？」

ホント馬鹿だ！